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【全6回連載】“傷だらけの天才バッター”西岡剛が今だから話せる『過去・現在・そして僕の未来』《第2回》「4年前に気づいたこと」

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骨格の違う日本人は欧米選手と同じように筋肉を付けたら打てない

―球界も平成あたりから理論的トレーニングを導入し始めてきたのでは?
「プロ野球の先輩方が、(引退後に)解説者になって球場に来られていますが、歩き方を見てもツラそうな人がいます。でも、それは今までさんざんカラダを酷使して戦ってきて、その反動が来ていると思うんですよね。野球に限らずプロアスリートって、しんどい時こそトレーニングしてきているので、引退した瞬間に(トレーニングを)やめたくなると思うんです。でも、(ツライ思いをしながらカラダを酷使した)その反動で私生活もすごくツラそうに僕は見えてるんですけどね。だから、トレーニングってしんどいイメージですけど、『健康のためにもやっていく!』とマインドを前向きに持って行ければ、しんどく感じないで続けられると思うんですよ」

―イチローさんのようにケガせず長く続けられるカラダを作るイメージ?
「はい。でも、筋肉はつけても良いと思うんですよ。ただ、筋肉をつけるに至って、生まれ持った自分の骨格(と筋肉をつけるトレーニング)が、それに合っているかいないかが、すごく重要なんです。例えば日本人って基本的になで肩で、ハッキリ言えば生まれつき肩が前に出ている体質なんですよ。この体形の日本人がウェイトトレーニングでバカみたいに筋肉をつけると、打つ時に筋肉が邪魔して打てないんです。欧米人は胸が開いている骨格をしています。なので、ウェイトトレーニングで筋肉をつけても、(胸が開いているので)動ける状態を保てるんです」

―欧米人は可動域が広い?
「はい。そこを皆、勉強していない。僕も全然勉強せずにそういう風にやって失敗しました。でも、実際に経験して、勉強して初めてそれに気づきました。だから、メジャーに行っても『すごい(長距離)ヒッターがこんなトレーニングしているから俺もやろう』じゃ通用しないんです。野球に限らず、そこを分かっているプロアスリートがどんだけいてるか」

―トレーナーも重要になってくる?
「はい。あとはトレーナーです。特に今、海外のトレーニングを日本に取り入れていますけれども、それが日本人に合うのか合わないのか―。日本人選手でも一人ひとり骨格が違うし、合う人もいれば、合わない選手もいる。そういう『深さ』を知って取り組んでやっている人がどれだけいるんかな、というのは、少し疑心暗鬼になっています」

―まだ、すべてに行き渡っていない感じはしますよね
「はい。プロでも1チーム3~4人くらいトレーナーがいてますけど、その人数で20人、30人のカラダ診るのは不可能やと思うんです。そうすると、またどうなのかな?と。さまざまなことを総合して考えなくてはならないので、一概に現状やっていることが正しくないとは、とても僕には言えませんね」

―でも、理論は進んできているし、それをさらに進めないといけない
「一人ひとりの個性をもっと調べないとね。例えばアレルギー検査したり、血液検査したり…。本当に一人ひとり違うんで。卵がカラダに良いって言っても、ある人は(卵)アレルギーだったら、カラダがしんどくなるので。だから今、僕は若いうちにもっとやるべきだったなと思っているんです。僕も(ケガをして)4年くらい前から始めたんですけれども、気づいたからにはやらないと、今後の自分の人生に繋がってこないので。そこでまた、知識を得ることによって、引退しても生かせると思っているんで。もちろん、今はNPB入りを目指していますけれども、その中でカラダのことをすごく勉強しています」
 

結婚した4年前から体のケアを続けてきて、今その変化を感じている

―その4年前の気づきから改善できているという実感はある?
「はい、すごくあります。4年前に結婚したのもあるんですが…。結婚する前は一人なので、試合が終わったら外食によく行きましたが、肉をたくさん食べてしまったりとか、どうしても偏ってしまうんですよね。でも今は、もずく酢を食べたり納豆を食べたり、酢をちょっと多めに摂ったりとか、ちょっとしたことを実行しています。そういう地道なことを積み重ねていくと、どっかで『ポン!』と花が咲いたりするんです。僕もこの4年くらいやっていますが、1年目、2年目は苦痛で仕方がなかったんですよ。でも、去年くらいからようやく『自分のカラダ変わってきたな』というのを実感しています」

―そんなにも時間がかかるものなのですか?
「かかります、かかります。そんなにすぐには出ないですよ。まあ1年くらいで何となくというか、感覚的に分かるようになってくるんですけれども。それが次の動作となって、『あ!これってあのことに繋がっているんや』というのを感じ始めるには、3年くらいかかると思いますね」

―でも4年前と言うと…
「そう、ちょうどアキレス腱が切れたくらいの時です。(メジャーから阪神に入っていた)その段階は(気づいたカラダづくりの)1年目、2年で、(効果が)出てこなかったんです。でも今、現時点、本当に表に出てきてくれてるんですよ」

―今のご自身のカラダの変化は明確に気づいている?
「もちろんです。でも(気づいた)4年前の、その前の10年間、いやその前もずっとやっていなかったので。それを取り返すっていうのは、これから20年くらいかかると思っているんです。そう考えると(自分の現役野球人生は)もう終わってるかなと。確実に野球人生は終わりに近づいて行っているわけですから。でも続けるのであればやり続けないと無駄になってしまいますよね」
 


西岡は結婚した4年前が転機という。メジャー帰りで阪神タイガースに入団し、その阪神タイガースから自由契約を言い渡されたが、すでにその時に「新たなカラダづくり計画」に着手していたことになる。NPBに居続けて、その結果をNPBで出すことが目標だったはずの西岡は、その努力が結実する前にその場を去らなくてはならなかったのだ。皮肉なことにBCリーグに来ている今、その効果が結実しようとしている。西岡はまだ諦めていない。その不屈の精神力を支えたものは…(第3回に続く、敬称略)。

 

取材・文:青木秀道(SPICEスポーツ記者)

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